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 2009年1月 6日(火) 20:02 JST

自然から学ぶスロービジネス


長野県伊那にてパートナーと共に七草農場という屋号で有機農業に取り組む小森さん。
日々いのちを育む土に近い暮らしと仕事からみえてくるスロービジネスとは?
そんな投げかけに応えてくださいました。

「自然から学ぶスロービジネス」 

小森夏花(SBS1期生@七草農場)

私が長野で夫と有機農業を始めて今年で4年目になる。
その前は京都で植木屋をしていたので、今も時々植木屋の仕事もする。
いつもは農家、時々植木屋で、毎日母親、これが私の今の仕事だ。



スローというのを「ゆっくり、のんびり」ととらえるならば、
私の毎日は全くスローではない。
早朝から収穫や作業、子育てをしながら日が暮れるまで作業、作業・・・。
夕飯を作って食べるともう9時近く。
それから事務作業や作業日誌をつけて、子供を寝かせて、
自分が寝るのはだいたい12時過ぎ。
はっきり言って、農繁期の夏はいつでも疲れ気味だ。

それでもやっぱり百姓は面白い、と思う。
自分の毎日を自分で創造していくこと、それが今の暮らし醍醐味だ。
大変だけれど、自分次第で良くも悪くも、大きくも小さくもなる。



最近、田んぼの生き物に目を凝らすことにはまっている。
ちょっと分かってくるだけでも、
自分の目の前に広がる世界がぐぐん、と広がる。
意識しなかった時は目にも止まらなかった様々な生き物が、
田んぼの水の中を悠々と泳ぎ回り、ここにもまた一つの世界があることを知る。
大変だ、という思いが強かった草取りの作業が、
楽しくてわくわくする仕事に変わった。

先日、京都で植木屋をしていたお客さんと久しぶりに電話で話した。
「あなたの植えてくれたブナの苗木も随分大きくなって、
ロウバイの花も満開だったわよ」と言われた。
フリーの植木屋になって、初めてお客さんになってくれた人だった。
結婚して、長野に根を下ろした今、
もう京都で植木仕事をすることはほとんどないだろうけれど、
私の植えた木が、今もしっかり元気に育っている、
そのことがものすごく嬉しかった。

自分の中で納得し、楽しく出来る仕事。
(もちろん楽しい、の中には時に困難、も含まれるけれど)
その喜びを自分の周りにも伝えられる仕事。
こんな気持ちが私にとってのスロービジネスなんだと思う。



そして農業を始めて気づいた、多様性の豊かさ。
田んぼの中で泳ぐたくさんの生き物たちも、畑に生きる、色んな虫たちも、
もちろん私たちも、みんな意味があるんだ、っていうことに、
心の奥深くから思えるようになった気がする。



初めて習った植木屋の親方が
「お客さんに、背中で伝えられる職人になれ」と教えてくれた。
私も、自然を通して学んできたこの深く豊かで多様な喜びを、
背中で、野菜で、これからも伝えていきたい。


*小森さんが「子育ち」について書いたエッセイはこちらからお読みください♪
大地に根ざした営みと子育ち
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