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 2010年9月 3日(金) 09:48 JST

小倉みゆきさん スロウな本屋

事務局スタッフの後藤が5期生の小倉さんにインタビューをしてみました。
「スロウ」な本屋とは/起業しないスロービジネス

語り手:小倉みゆきさん(5期生)
聞き手:後藤 彰(1期生 事務局スタッフ)

後藤
小倉さんと言えば、07年5月に行われたSBS山梨県清里合宿で、
スロウな本屋さんをやりたいという発表をしたのが印象的です。

小倉
スロウな本屋をやってみたいという気持ちはありますよ。
2009年4月に活動を開始しました。
野外イベントに、はじめて出店したんです。



6月4日から21日まで、岡山市内のカフェにプチ出店。
店内の一角をお借りして、
キャンドルナイト関連のコーナーを作らせてもらえることに。

まだまだ、試行錯誤中ですが、
しばらくは今の仕事と並行して、実験的にあれこれやってみる、
無店舗の個人活動みたいに、なりつつあります。

今、岡山市内の書店で仕事をしていて、とても良い経験をさせてもらっているんですね。
ここで、もう少し磨きを掛けようかな、と思っています。

大きな書店なので、職場の知名度で来てくれる方もいるんです。
その人たちに本を紹介していくという点で、
今の職場でやれることがたくさんあると思っています。

後藤
今の仕事はどんな仕事なのですか?

小倉
児童書コーナーを担当しています。
本の選定、企画立案、発注、返品、ディスプレイ、販売など。
店頭で、本を贈りたいんだけど、と、ご相談を受けて、
お客様と一緒に本選びをしたりすることも、増えてきました。


08年11月に「食と農まつり」というイベントが岡山でありました。
今まで、主催者の「エコウェーブおかやま」が本のブースを出していたんですね。
私も会員なのですが、これまでの仕入、販売スタイルをちょっと変えることになったのです。
今回は話が進んで、職場の名前で私が中心に動き回り、そのまま販売までやらせていただきました。

後藤
それは良い機会ですね。
イベントでの本屋さんのテーマのようなものはあったのですか?

小倉
もちろん、食と農を軸にしながら、自分の中でテーマ設定をして
選書をしました。
辻信一さんのスロー関連の本や食に関してはレシピ集等も揃えました。

そしたら、上司が「ほーすごいねぇ」ってビックリしたんです。
通常、大型書店の選書というのは、コーナー別に縦割りになっているんです。
だから、私がやったようなテーマ別の切り取り方というのが新鮮だったようです。

自分ひとりでは、仕入れのことなどがあるため、単独でイベント本屋出展はなかなかできない。
でも、職場と連携したらお互いできることが広がるということが分かりました。

後藤
なるほど。SBS内では起業しないスロービジネスと言って
今いる職場でできることをやっていくという話もありますからね。
正に、その路線ですよね。

小倉
そうですね。そのイベント出展後に、児童書コーナーでも
テーマ設定をして選書をしています。



絵本の隣に実用書を置いてみたりもしていますよ。
つい先日まで、本と一緒にコーヒーを並べたり。

後藤
なるほど。でも、テーマ設定をして選書してある書棚って、
意外と見ている気もするのですが。

小倉
そうですね。でもそれは多分、ひとつの出版社が自社本で組むテーマではないかと思います。
出版社を横断して、並べるのは意外と難しいんですよ。
書店員の実力が問われるし、手間も掛かりますから。

例えを出しましょう。
絵本ばかりが並ぶのが普通の児童書コーナーですね。

荒井良二さんという絵本作家さんがいらっしゃいます。
子どもの本のノーベル賞と呼ばれる、
「アストリッド・リンドグレーン賞」を、日本人ではじめて受賞。
子どものこころを忘れない作家に贈られる、イカシタ賞です。

絵本って、何か教訓がなくてはいけない、と
大人は思いがちですが、
そんな価値観をぶっとばしてくれる
素敵な絵本を作っていらっしゃいます。

プロフェッショナルというNHKの番組で荒井さんを紹介したDVDがあるんですね。
それを児童書コーナーに置かせてもらいました。
児童書コーナーに大人向けのDVD。
一見、不釣り合いですが、
このDVDは系列店の中で私がいる岡山の店が一番売れているそうです。

情報を編集して、紹介するのが書店員の役目だなぁ、と思っています。




小倉さんの書棚の一部です



後藤
なるほど。小倉さんの軸というか芯にスロウな価値観や大切にしたいことがあって、
それと紹介する本が結びついているのでしょうね。
他にもエピソードがあればお聞かせください。

小倉
これは、これからやりたいことなのですが、
「お父さんの読み聞かせ講座」というのをやってみたいと思っています。
普通の読み聞かせ会は、専門家の人に来てもらってやっている。
イベント的に集まってもらって、本を読んでもらって終わる。

もう一歩、工夫をして「お父さんが絵本を読むと面白いよ」と打ち出したいんですね。
読み聞かせを通して「育児にこう参加できるよ」といったことを
発信できたらと思っているんです。

安藤哲也さんという方が「パパ's絵本プロジェクト」というのを展開しています。
そこからヒントを得たのです。

後藤
お父さんの読み聞かせって確かに大切ですよね。
そういったスロウな時間が豊かさですよねぇ。

小倉
読み聞かせには、ちょっとブーム的なものも感じているんです。
部分的に声を出して読む。抑揚を付けて読むなど、テクニックの紹介も多い。
専門の方に来てもらって企画をした時は「お上手!」というのが私の感想です。

でも、プロが読むのではなく、つたなくても、
お父さん、お母さんが読むことの大切さもあると思うのです。
本は子どもとつながるメディアだと思っています。

ある日、職場でほほえましい光景を眼にしました。
図鑑を絵本にした大型絵本があるんですけど、
それは動物や恐竜の実物の大きさを表しているんですね。

ある親子がそれを見ていて、
ページをめくるごとに親子で「うぁ?」「うぉ?」と、叫んでいるんです。
読み終わるまでに、何度、叫ばれたことか(笑)。

「良いなぁ」って心がほっとしました。
絵本がコミュニケーションのツールになっているんですね。

読み聞かせの時期は終わったこどもでも、その時の記憶は蓄積されているはずです。
毎日忙しかったけど、10分間、読み聞かせの時間があったことが幸せだったと
振り返っている少年もいます。

本があるからこそ、そういった時間が積み重なったんですね。
絵本って良いなぁ、と思っています。

後藤
いろいろと自由にやらせてもらっていますねぇ。
正に、職場内スロービジネス、起業しないスロービジネスですね。

小倉
そうですね。
岡山は、書店の競争が激しく、図書館も充実しているので、今いる書店としても
「新しいことはどんどんやってみよう」という
姿勢があるのがありがたいことです。
これからもスロウな本屋の構想を温めつつ、職場でもできることを展開していきます。

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小倉さんワールドを表現したエッセイはSBSのE組課題からも読むことが出来ます。

「スロービジネスの実践・・・ある書店人の場合」

「スロービジネスの実践・・・イベントに参加してみた」

「スロービジネスの実践・・・虎の穴珈琲店日誌」


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