概要

スロービジネススクールの概要

環境や持続可能性への関心が高まる中、自らのライフスタイルや仕事、社会へのあり方への模索をする人は年々増えていっているようです。自分はどんな社会を目指したいのか。そのために、どう現状の社会へ関わっていくのか。どんな暮らし・仕事をしていくのか。そのなかで、自分はどんな存在になりたいのか。

いのちを大切にする仕事=「スロービジネス」に共感する同じような想いをもつ仲間が集い、お互いの「学びあい」と「育ちあい」を通し、それぞれが模索している「自分なりの答え」を見つけていく。SBSは「教育」の場ではなく、仲間と「学びあう」場として、「(人材)育成」をする場ではなく、仲間と「育ちあう」場として。「自分の価値観を探す旅」。「自分なりの答えを見つける場所」。SBSがそんな場所となることを目指して。

任意団体として4年、法人として設立から2年が経ったSBSでは、そんな目的を掲げ、スロービジネスを学び、実践し、広めていくための活動をしています。

実際に校舎があるわけではなく、主にインターネット上でメーリングリストやホームページを活用しながら、学び実践しています。あわせて、地域での交流・活動や、年2回の公式合宿を開催しています。



「スロービジネススクール」とは

―このプロジェクトへの想い―


スローなビジネスは可能だと思いますか?
みなさんのイメージする「スロービジネス」は、どのような事業モデルですか?

新しい概念のこの言葉は、一見、矛盾(SLOWと、BUSYを語源とするBUSINESS)しているように聞こえるかもしれません。

けれど、経済を成り立たせるビジネスは、「経世済民」、つまり、「世の中を治め、人民の苦しみを救うこと」、そして「世の中を平和にして、人びとを幸せにすること」のためのシステムだったはずです。

ところが、現在のビジネスの大半は、当然のように自分の会社や自分の国だけの利益を求め、未来世代のことにも配慮していません。その結果、環境破壊と貧富の差が拡大して、暴力的な世界が広がっています。

こうした世界の根っこには、「独り占め」や「限度を知らない欲望」といったものがあり、それらが生み出す「弱肉強食の社会」が広がるほど、「食われる側」にはなりたくないという意識が強まり、競争が加速して、「ファーストビジネス」が拡大していったのではないでしょうか。

こうした社会のあり方を変え、本来の経済を取り戻すにはどうすればいいのでしょう。そのための重要なキーワードの一つが「独り占め」の対極にある「シェア(分かち合い)」ではないかと思います。

世界の多くの人びとは、これ以上環境を悪化させたくないと考えています。もう、戦争や武力攻撃はやめてほしいと願っています。「いのちを大切にしない社会を変えたい」と思っています。そうした思いをどのように生かしていけばいいのでしょうか。

限度を知らない「奪い取る社会」を、もう少し「分かち合う社会」に変えていくには、環境や人のいのちを大切にする仕事が、少しずつでも増えていくことが重要だと私たちは考えています。

そんな「いのちを大切にする仕事」のことを私たちは「スロービジネス」と名付けました。

そして、少しずつでもスロービジネスが広まることを願って、「スロービジネス スクール」を設立することにしました。

「スロービジネススクール」は、単なる学校ではありません。スロービジネスの考え方や目的などに共感して集まってくる青年たちと、小規模ではあっても、実際にスロービジネスを展開していく。

「スロービジネススクール」は、そんな私たちのささやかな実験の場であり、世界を変えうる創造の場なのです。

(中村隆市)



「スロービジネス スクール」の構想
・・・ある日の、ウインドファームでの対話から



「今度、スロービジネス スクールというのを作ろうと思うんだけど、どう思う?」

この人の話は、いつもこんな風に始まる。5年前もそうだった。「今度、ナマケモノ倶楽部というのをつくろうと思うんだけど、どう思う?」3年前もそうだった。「今度、セヴァン・スズキを日本に呼んで、講演ツアーをやろうと思うんだけど、どう思う?」。やり始めたら、重荷を背負うのは、私たちスタッフである。

「どう思う?」って聞きながら、本人は既にやると決めているのだから、たとえ反対したとしても、結果は同じである。しかたなく「それって、どんな学校なんですか?」と聞いてみる。すると、賛成してもらったかのように、うれしそうに話し始める。

「学校なんだけど、校舎はなくて、日常の授業もないんだ。学生は全国どこにいても学生になれる、外国にいても構わないし外国人でも構わない。年間に 3回くらい西日本とか、関東とか、東北とか、場所を変えて合宿をするんだ。そこに、スロービジネスの本質を語れる講師にも参加してもらう。」

「年に3回しか、学ぶ場がないんですか?そんなんで、学生が集まりますかねえ。」

「日頃は、インターネットなんかで、勉強するんだ。」

「誰が教えるんですか?」

「私も一緒に勉強しようと思っている。」

「時間はあるんですか?」

「あんまりないけど、君たちのような優秀なスタッフもいることだし、何とかなるんじゃない。」

「優秀じゃありません、こちらが教えてほしいくらいです。」

「そうだ!そうだよ。優秀な学生に集まってもらえばいいんだ。この学校は、会社員、フリーター、主婦、大学生、農民、漁師、公務員、自営業者、無職でも、誰でも学生になれるんだ。その中には、教えてくれる人もいるはずだ。」

「学生に教えてもらって、学費を取るつもりですか。」

「もちろん取るよ。学費は前納制で、年間3万円にしようと思っている。学生の定員を女50人、男50人の100人にするから、300万円集まる。これで有限会社(2006年1月26日 中間法人スロービジネスカンパニー(SBC)設立)を設立するんだ。そして、学生はみんなでスロービジネスの会社を経営しながら、スロービジネスを学んでいくというわけだ。会社の名前も、バッチリ決まっていて『スロービジネスカンパニー』にしようと思っている、いい名前だろ。」

「名前はどうでもいいんですけど、その会社は誰が舵を取るんですか?」

「この学校は3年制で、その3年間だけ、私が代表取締役(中間法人においては理事長)をやる予定だ。経営内容は、すべて学生に公開するから、会社の一員として働きながら、その間に勉強してもらう。その後は、社長になりたい学生が立候補して、すべての学生の投票で社長以下、役員を選ぶ。つまり、学生は 1年で学校をやめてもいいし、毎年3万円の学費を払って3年たった後も会社に残りたければ、残ることができる、というわけだ。まあ、やってみないと分からないけど、場合によっては1、2年で学生に代表を任せるかもしれない。」

「よく分からないんですけど、それって、学校というよりも会社じゃないんですか。」

「そうだよ、会社なんだけど、スロービジネスを学ぶ学校でもあるし、社会を変える運動でもあるわけだ。もともと、今の社会は、いろんなことが細分化されて、分断されている。われわれは、それを接着剤のように、つないでいって、学問と運動とビジネスの融合を目指しているんだ。」

「なんだか、ナマケモノ倶楽部に似てますね。」

「そう、よく似ているんだ。だから、ナマケモノ倶楽部とも連携をとりながらやっていくけど、この学校は、スロービジネスを中心にすえていて、それで食っていく人を増やすことが大きな目的なんだ」

「ほんとに、この学校に入ったら、スロービジネスで食えるようになるんですか?」

「それは、本人次第さ。この学校を出たからといって、何の資格を得られるわけでもないんだから。」

「ますます、分からなくなったんですけど、このスクールには校舎がなくて、学生も教員らしき人も普段は、顔を合わせることがない。一方で、会社を皆で経営していくっていうのが、イメージが全く湧かないんですけど、具体的には、どんな感じになるんですか?」

「そうそう、そういう具体的なことが重要なんだ。いいアイデアを学生たちで出し合っていくのが、大きな意味を持っているんだ。私が考えている一つのアイデアを大ざっぱにいうと、会社が販売するエコロジカルな商品を学生自身が買う。もちろん義務はないけど、できるだけ買う。できたら、家族や友人にもそれをすすめて買ってもらう。さらに、可能な人は営業してまわる。例えるなら、学生が全員支店長になる感じだ。自分の会社の商品を開発したり、それを消費者として買ったり、営業で販売したり、商品をめぐっていろんな立場から、それを見つめる。そして重要なことは、自分たち自身が買いたいもの、社会に広めたいものを商品として扱うことだ。エコロジカルで、サスティナブル(持続可能)なもの、貧富の差を拡大しないもの、自給率を高めるもの、長持ちするものものなど、いろいろある。長い目と広い視野で見て、何が、環境にとっていいものなのか、未来世代にとっていいものなのか、途上国の人にとってもいいものなのか、そんなことを皆で、勉強する必要がある。」

「だから、学校なんですね。」

「そういうことだ。」 「でも、この不景気な時代に、シロウトの学生たちが、ものを売ることができますかねえ。」

「それは、やってみないと分からないよ。それに、集まってくる学生は素晴らしい才能やアイデアを持っているかもしれない。むしろ、シロウトだからこそ、いろんな可能性が広がるはずだ。例えば、ものを売るんじゃなくてサービスを提供すること。修理とか修繕の仕事なんかは、これからの循環型経済にとっては、とても重要な産業になる。静脈産業もそうだ。廃品回収業なんかは、知恵を絞れば、いろんな可能性があるはずだ。例えば、日本では、新製品が出ると古い型の機械は処分されることが多いから、それを途上国の支援にまわすこともできる。医療機器やパソコンなど、必要な国はたくさんある。NPO、NGOなどの活動も、ひとつのスロービジネスだと考えていい。スロービジネスを「いのちを大切にする仕事」と考えれば、環境保全型の農林水産業などは、重要なスロービジネスだ。今後の世界を考えれば、食料の自給率を上げていくことは重要だから、有機農業で食べていきたいと考えている若者たちをサポートする仕事もスロービジネスになり得る。関連して、考えたいことは、会社で働く時間の一部を農作業などにあてて、個人の食料自給率を少しでも高めることだ。これは、ワークシェアリングにもつながる。若者たちが労働力を提供することで、宿と食事が確保され、お金をかけずに短期や長期の研修ができる場所をつくったり、すでに受け入れている農場などを紹介する仕事もある。雑誌や本の出版、インターネットメディア、ビデオ製作、ラジオ局など、メディア自体をスロービジネスの対象としたい。そうそう、スローなカフェを出店したり、出店したい人たちをサポートする仕事もある。そんなふうに、多様なスロービジネスがつながって、協力し合いながら、複合的に事業が展開されることが重要なんだ。そうしたネットワークを広げることもこの学校の役割なんだ。でも、最初はものを売ることからスタートすることになるだろうね。」

「夢は広がりますけど、現実問題として、給料は出るんですか?」

「そう、それが問題なんだ。でも、各支店には、卸価格で商品を卸すから、支店長が販売したものは、各支店の収益になる。それを給料と考えたらいい。会社全体の収益が上がるようになるには、まあ、2、3年はかかるだろうね。」

「もしも、会社が途中で倒産した場合、学校はどうなるんですか?」

「それもありえるなぁ、まあ、やり始めたら何とかなって行くんじゃないかなぁ・・・」

「・・・・・・・・(絶句)」

このプランナーは、周到な計画を練ることもなく、思いつきでいろんなことをやり始める。だから、失敗することも多い。3回に2回くらい失敗しているだろう。そんな時、この人は「野球でいえば、3打数1安打、3割打者なんだから悪くないよ。ここぞというチャンスではよく打ってるし、長打力もけっこうある。それに、失敗は成功の母なんだから」などと、わけの分からないことを口走る。

「学校を作るんだったら、設立趣意書くらいは書いて下さいね!」というスタッフの要望によって、ようやく書かれたのが、設立趣意書である。

こんな、いい加減な人が考えた「スロービジネススクール」ですが、気が向いた方は、「スロービジネススクール」事務局まで応募書類をお送り下さい。くれぐれも、この学校らしきものに過大な期待を抱かれませんように。というよりも、この学校は「学生が自分たち自身でいい学校をつくるしかない」と事務局スタッフは確信しています。

中村は、100人の可能性を秘めた青年たちと「スロービジネスの冒険」をやってみたいと言います。しかし、冒険にはトラブルがつきものです。初めてやることだから、何が起こるのか分かりません。それ故に、この冒険には、小さなことにこだわらない、寛容で、おおらかな皆さんに参加していただきたいのです。

「少々の問題が起こっても笑ってすませる。そんな人たちが集まったら、これまで、あまりできなかったことにもチャレンジしやすくなるから、大胆なスロービジネスの冒険ができるだろう」と中村は考えています。


スロービジネスクール公式サイト
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