ドイツ連邦環境省がこれらの疑問にお答えします。
違います。理由はいたってシンプル。原子力は大量の有害廃棄物を残すからです。今のところ、この廃棄物を安全に最終処分する方法については、世界中どこにも答えが見つかっていません。
それに、原子力は「CO2を出さない技術」というわけでもありません。
ひとつのエネルギー源が、気候バランスに与える影響を考えるときには、原料の採掘、輸送、加工処理から利用段階、さらには発電所の建設にいたるまで、全過程を考慮しなければなりません。
原子力と再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力・バイオマス・地熱といった、未来に有効なエネルギー)を比較してみましょう。発電時のCO2排出量だけをみても、原子力は再生可能エネルギーを上回っています。原子炉の運転時には二酸化炭素は排出されませんが、ウラン採掘、ウラン濃縮、再処理、最終処分の各段階ではCO2が排出されます。
原子力の利用を増やしても、国際的な気候変動の防止には、何ら貢献しません。原子力の利用を増やすというのは、コスト(生産までにかかる費用)面だけから言っても非現実的。国際エネルギー機関(IEA)の提言にもありますが、気候変動の防止に、原子力発電が目に見えるだけの貢献をするには、原子炉を新たに1400基も建設しなければならない計算になります。
原発が稼動している国の数が多ければ多いほど、兵器級のプルトニウムやウランが、誤った手に渡るリスクも高くなります。
・2001年、ブルンスビュッテル原発
・2002年3月、米国のデービスベッセ原発
・2003年、ハンガリーのパクシュ原発
・2006年、スウェーデンのフォルスマルク原発
・2007年、日本で起きた地震で5基の原子炉の基礎が歪み、火災が発生。
これらは、原子力があまりに複雑な技術であるがゆえに起こるシステム上のリスクの一例に過ぎません。
高レベル放射性廃棄物の最終処分場として認可されている場所は、世界中どこにもありません。核廃棄物は極めて危険で、何百万年もの間、放射能を放出し続けます。
ドイツでもなんら解決法は見つかっていません。
今のところ、核廃棄物は単に中間貯蔵施設に置かれているだけの状態です。
ヴォルフェンビュッテル近くのアッセ岩塩鉱山は、核廃棄物の安全な貯蔵がいかに難しいかを教えてくれます。アッセは安全な最終処分場の試験的プロジェクトとなるはずでした。しかし今では、毎日 1万2,000リットルの水が貯蔵庫の全壁面から滲み出し、多穴質の岩塩がさらに砕けていくという事態に陥っています。
原子力が一見クリーンに見えるのは、放射能のゴミが、その危険とともに地中に埋められてしまうから。その重荷を背負うのは、未来の世代なのです。
石油やガソリン、ガスの値上がりは、原子力とはまったく無関係です。原発は電気しか生み出さないので、ガスや石油の代わりになりません。
いいえ、新設の原発がつくり出す電気は、高コストで非経済的。国から大幅な助成を受けて、初めて採算が得られるのです。原子力が安価だとされるのは、ひとえに、研究開発費や十分な保険費用などが、コストに全く反映されずに来たからなのです。
エネルギー市場の競争を高めること、効率良くエネルギーを活用することで、安定します。
インドと中国で、1?2基の原発が新設されていますが、それよりもさらに多くの原発が、世界各地で経年を理由に閉鎖されています。何十年も前に新設計画が発表された原発のほとんどが、実現していません。原発の新設は、国からの膨大な補助金がないかぎり、採算が取れない事業だからです。
ドイツの原子力は、100パーセント輸入ウランに頼っています。実際、エネルギー産業が先進的であるためには、輸入依存度を下げなければなりません。
※「エネルギーミックス」:石油、天然ガス、石炭、原子力、風力、水力、バイオマス、太陽光など、特性の異なるエネルギー源を組み合わせて構成した供給体制のこと。
エネルギー効率の向上(省エネ)と、再生可能エネルギー。この2つを両輪にした戦略は、先進国が、未来に確実で、かつ新しいエネルギー供給を実現するために不可欠です。
ドイツ政府は、原子力に頼ることなく、未来のドイツの電力供給が成り立つことを保証するプログラム、「統合エネルギー・気候プログラム(IEKP)」を通じて、実行に移しています。
未来のエネルギーミックスの、もうひとつの重要な柱となる、石炭・ガスによる最新型の高効率火力発電設備についても、同じことが当てはまります。将来的には低炭素型石炭火力発電(CCS設備)も視野に入れています。
最新型の石炭火力発電所は、CO2排出量を往来型の発電所の半分以下に抑えることができます。これらの火力発電所でベースロード電力すなわち、昼夜を問わず常時必要になる最低電力量を確実に供給できます。
CHP(コジェネレーション)型の石炭・ガス高効率火力発電と、再生可能エネルギーの両輪で、ドイツは技術革新の道を拓いていく決意です。
エネルギー業界とドイツ政府との間で合意している脱原発化。そこに疑問を投げかける余地はありません。脱原子力化は続きます。
高コスト高リスクの技術に、未来はありません。
安全な最終処分場が存在しない中で、何百万年も放射能を持ち続ける高レベル廃棄物をさらに大量につくり出していくことに、未来はありません。
すなわち、兵器級の核物質が拡散するリスクを高め、世界平和を危うくすることのなかに、未来はありません。
「エネルギー効率の改善」と「再生可能エネルギー比率の引き上げ」を中心とした持続可能なエネルギー産業にこそ、未来があります。
エネルギー輸入からの自立を成し遂げ、未来につながる健全な競争力を維持するためにも、こうした方向性が重要なのです。
原子力は、今日のエネルギー問題・気候問題の答えではないのです。
発行元:連邦環境・自然保護・原子力安全省(BMU)
広報部 11055 Berlin
編集:Ingrid Muller、Jurgen Schulz